江別市大麻宮町にある「大麻神社」をくまなく観察しに行ってきました。
神社境内には開村記念碑、馬頭観世音菩薩など、興味深いものがたくさんあります。
というわけで、大麻神社の現在の様子を細かくリポートするとともに、ご朱印情報等も紹介します。
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もくじ
大麻神社 出入口
大麻神社の正面、鳥居横に立つ神社名を刻んだ立派な石柱。
石柱の裏には昭和62年5月吉日とありました。1987年に建てられた石柱のようです。
参道舗装 記念碑
鳥居をくぐったすぐ左側には、「参道舗装」を刻んだ珍しい小さな記念碑もありました。
「参道舗装」の裏側には、平成28年7月吉日とあります。
大麻神社の歴史
石碑に刻まれた大麻神社の歴史と御祭神。内容は以下のように書かれていました。
御祭神
- 天照大神(あまてらすおおみかみ)
- 稲倉魂命(うがのみたまのみこと)
- 少名彦名命(すくなひこなのみこと)
- 大己貴命(おおなむちのみこと)
- 埴安姫命(はにやすひめのみこと)
大麻神社史略記
明治三十三年麻畑に居住の福屋角助氏が宅地に「八百萬神」の木碑を建て祭りを行っている。その頃大曲の平本与三吉氏の宅地にも小祠を建立し祭りを行っている。その後西野幌製糖会社の地に小祠を建立し十二錦山神社として開拓者の寄りところとした。
大正八年麻畑実業青年会が明治四十三年から借りていた現在地に社殿を御造営しそれぞれ木碑小祠を合祀し大麻神社と呼称したのが大麻神社の創立となっています。
道の大麻団地の造成に伴い大麻地域の神社として入居された人たちも参加し一段と賑やかな祭典を行って来ている。
昭和五十一年総代並に崇敬者で御社殿造営奉賛会を結成し、五十二年九月落成し神社本庁包括関係が設定され同年十一月宗教法人大麻神社設立により今日に至っている。
大麻神社史略記の裏側には「入植百年記念」と書かれており、以下のように文字が刻まれています。
入植百年記念
明治二十三年富山県ヨリ
札幌郡江別村字小野幌番外地ニ入地シ
明治三十七年大曲ニ入植ス一九九五年五月吉日建之
富山県より入植した方々この地を開拓したのですね。
ちなみに「大曲(おおまがり)」は大麻の旧地名。
狛犬
狛犬右側。口を開けている阿形。
狛犬左側。口を閉じている吽形。
狛犬の台座には「入植百年記念」とあり、奉納者の名前と、1992年4月吉日と建立日が記されていました。
大麻馬頭観音堂(馬頭観音菩薩)
境内には「大麻馬頭観音堂」という大きな看板が設置されています。全文は以下の通り。
大麻馬頭観音堂
一、本尊 馬頭観世音菩薩 三体
一、由緒 大麻の馬頭観音は大正十三年麻畑の中田幸太郎氏の愛馬が急死した時、地区住民からの志と上野孝義氏のすすめにより亡馬の供養のために翌年三月 四番通りと十三丁目角の福屋角助氏の土地を借り受け建立したことに始まる。ついで昭和二年天徳寺福田教順住職と安彦常治氏の発起により大曲の伊藤義光宅の一角に大曲地区住民の寄付によって建立され、さらに昭和三年 樹林地では鈴木小七氏が先導となって馬頭碑が建立された、爾来今日に至るまで毎春四月十七日には開拓以来大麻発展の礎となった牛馬の供養が催されるようになる。
一、堂宇再建 昭和三十七年頃より大麻農事連合会が中心となって馬頭祭の執行にあたり堂宇再建の機運高まり昭和五十二年地区有志一同相謀り浄財をつのり施工者小玉工務店によりここに堂宇の新築再建を見る。昭和五十二年九月仏歓喜日 大麻農事連合会
神社に菩薩像というのも不思議な感じです。神仏習合ですね。
こちらが馬頭観音堂。説明板の通り、昭和52年に再建されたものなのでしょう。とても立派な造りです。
お堂の中に保管されている馬頭観世音菩薩。経年劣化が見て取れます。
説明板には3体とありますが、2体のみです。
右側の古い台座に新しい石柱が立っているのは、元は菩薩像があったのかもしれません。
手水舎
境内中央にある手水舎。冬を迎える直前だったので、カバーが付いています。
石灯籠
石灯籠、右手。かなり古そうです。
石灯籠、左手。
石灯籠の台座には福屋角助氏の「金婚式記念」に建てられたものらしい。
昭和十一年九月建之
明治二十四年山口県ヨリ渡道シ
明治二十六年麻畑ニ入地ス
「麻畑」は大麻地区の旧地名です。
開村記念碑
巨大な石碑「開村記念碑」も境内に立っています。全文は以下の通り。
開村記念碑
大麻は野幌兵村の給与地にして人跡未踏の原始林なりしも明治二十四年上野與四郎等数戸はじめて大曲の地に開拓の鍬を下せしを以って起源となす麻畑は二十六年福屋角助農を志し次で月田弥三郎等入地す爾後伊藤三代吉等水稲試作の成功により入植者増加し漸く村落を成すに至り平本與三吉部落総代となり部落自治の基を成す樹林地は兵村薪炭備林として存置保護されしが伐採後三十八年小作制度により鈴木寅十郎等が開墾せしに始まる日清日露の戦後は共にその開拓を促進し農村の基盤を確立するを得三十九年二級町村制施行当時江別村字大曲 麻畑 樹林地と称されしも昭和十年字名改正により統一して大麻と称すに至る
福屋角助等子弟の教育憂慮し相計りて三十一年私設教育所を創始し次で三十四年公立麻畑簡易教育所の開設となり爾来先人の努力よく今日の充実せる教育施設を成すに至る大正八年神社の合祀と十一年青年倶楽部の建設を実現して精神文化の基調とし村民相協力して民風の振作に努むその後上野孝義中田幸太郎等十余年に亘る献身的努力により昭和十四年全部落の兵村公有地は開放され待望の自作農となることを得十九年遂に農村電化を実現し村勢はここに一大躍進をみるに至る先人の業績まだ偉大なりというべきなり
戦後国家再建に精進し郷土は開拓地を加え七十六戸田畑四百七十余町乳牛二百頭を算え各その業に安んじ開村七十年を記念しここに開拓先人の功績を称え事績を顕して碑となす
昭和三十五年九月 元石狩支庁長 能木喜七撰並びに書
開村記念碑には、大麻地区の地名の移り変わり等にも言及されていますね。
開村記念碑の裏側には当時の現住者の名前が刻まれています。
左隅には「江別市 宮内石材店作 2000年改修 ㈲吉田造園・道央石材㈱」とあります。
社殿
大麻神社の社殿。大きく立派な造りとなっています。
少し横から見た大麻神社社殿。
後ろから見た大麻神社。本殿が付いています。
賽銭箱
賽銭箱。蓋が付いた形の雪国使用。
ちなみに賽銭箱の上部に吊るされる鈴は付いていませんでした。おそらくお正月には吊るされるものと思われます。
大麻地区では文京台神社も鈴が取り外されていました。音が出ることでの近隣住民への配慮でしょうか。
扁額
拝殿上部に付いている扁額も立派です。
御神木
紙垂がついた御神木が社殿右奥にあります。
御神木は「江別市保存樹木」に指定されているもので、樹木名はハルニレ(アカダモ)。
登録は平成20年(2008年)2月13日で、その当時のデータでは樹高20m、直径61cm、樹齢推定100年とあります。
境内全体
横の駐車場から見た大麻神社境内全体。
参道は短くコンパクトな神社ですが、見どころの多い伝統的な神社です。
大麻元町自治会館
大麻神社の横にある建物は「大麻元町自治会館」。
大麻開基百年 記念碑
大麻元町自治会館の前に立つ「大麻開基百年」記念碑。
記念碑裏側にある碑文には以下のようにあります。
大麻は、もと肥沃な農地なりしが、北海道知事の要請に応え、昭和三十八年父祖伝来の地を、住宅用地として道に供したり。
ここに、人跡未踏の大地を開拓した先人の遺徳を偲び、碑を建立し感謝の誠を捧げる平成二年九月二十四日建立
神社境内に残る碑文を読むと、この地の歴史がよく分かりますね。
御朱印・お守り・おみくじ等について
大麻神社には普段は無人であるため社務所(授与所)でお守り・おみくじ等を購入することが出来ません。
ただ、お正月の初詣時期や秋季例大祭の時だけは隣の自治会館が開き、おみくじ・お守り等を購入することができるようです。
御朱印について補足
大麻神社は前述したとおり無人のため、御朱印も受け取ることが出来ません。
ですので、普段は野幌代々木町にある「錦山天満宮」にて大麻神社の御朱印を受け取ることができるようになっています。
が、これも前述したとおり、大麻神社はお正月の初詣と秋に行われる秋季例大祭だけ社務所が開きます。
その時だけは大麻神社で御朱印を受け取ることができるとのことです。
上に掲載した大麻神社の御朱印は、えべつセカンドプロジェクトさんからお借りしたものですが、なんと大麻神社で受け取った御朱印という激レアものです。
大麻神社の場所アクセス地図
住所:〒069-0855 北海道江別市大麻宮町3−2