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江別まち検定問題作成に奔走!えべチュン飼育係も「NPO法人えべつ協働ねっとわーく」事務局長 成田裕之さんインタビュー【江別の達人Vol.2】

成田 裕之さん

江別の著名な方にお話を伺うインタビュー企画『江別の達人』。今回はNPO法人えべつ協働ねっとわーく事務局長・成田裕之さんにお話を伺いました。

成田さんは「江別まち検定」の問題作成や、えべチュン飼育係に関わるなど、様々な江別を盛り上げる活動をされています。

『江別の達人』とは?

「江別の達人」は、江別在住または江別にゆかりのある方へお話を伺う「えべナビ!」のインタビュー企画です。江別での現在の活動から、江別にまつわる歴史や思い出話、未来の展望などをお聞きし、江別の楽しさ素晴らしさを再発見します!

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「NPO法人えべつ協働ねっとわーく」の仕事と、大事な思い

成田 裕之さん

市民活動団体と行政、市民等とのつなぎ役となり、協働によるまちづくりを目指す「NPO法人えべつ協働ねっとわーく」の事務局長を務める成田裕之さん。

協働のまちづくりのために市民活動団体、行政、大学、企業等とのネットワークをつくり、活発な市民活動をサポートします。

拠点となる市民交流施設「ぷらっと」には、市民が利用できる交流サロンや会議室があり、市民活動センター・あい、国際センター、市の証明交付窓口などが開設されています。市民活動センター・あいでは、市内観光・市内周遊向けのレンタル自転車EBE-CLEの貸し出しも行い観光案内もしています。

江別市交流施設ぷらっと

年間を通じて同じような内容の事業もありますが、関わる人によって新しいものが生まれたり、関わりが増えていったりするので、毎回決して同じにはならないことを「大変だ」とも思いつつも、同時にそれらを「楽しい」と感じるのだそうです。

多くの人が集まる場所なので、市民の生の声、生の情報が集まります。いろんな声を聞く中で「本来届くべきところに届かない声がここにはある」と思うこともあります。

「市民活動は地味な世界ですが、一番地味なところの下支えがあるから明るいところがある。光が当たるものだけがまちをつくっているわけではないんです。」という成田さんの言葉が胸に響きました。

ひと昔前まで、自治会の回覧板しかなかった時代もありましたが、今ではSNSで個人が発信できるようになりました。だからこそ、情報発信の重要性を感じているとともに、情報過多の中で必要な情報が埋もれているのではという思いもあり「自分の住んでいるまちの情報を適切に得てほしいっていうのは思ってます。そういった仕事の比重を高めたい。」と考えています。

 

ゴミ拾いも自治会も協働のまちづくり

成田 裕之さん

協働とは、対等の立場でそれぞれの得意分野を活かし ながら、同じ目的のために力を合わせて物事を行うことです。

「自分たちの力で自分たちが住みやすいまちにしていかないと、ということですね」例えば、道端にゴミが落ちていたとして誰も拾わず、そんなのは市が全部やればいい、誰かやるだろうという考え方では、まちはよくならない。

「協働のまちづくり」に関しては、個人情報の取り扱いやコロナの影響もあって気薄になりつつあります。「自治会もPTAも一旦見つめ直して、昔ながらの悪いところは改善して良いところは取り入れる、新しい取り組みをつくれるタイミングではないか」と成田さんは言います。

自治会は住んでいる住所で決まってしまうコミュニティですが、趣味で集まる人たちのつながりでもコミュニティができます。

「劇団や音楽の団体などの、芸術文化も市民の心を豊かにしていくための大事な一つのパーツだと思うし、活動は様々なジャンルがあり、それぞれの活動が充実していけば、全体が豊かになりますよね」と、協働のまちづくりの可能性についても教えてくれました。

 

江別は本当に何もない?探せばいくらでも見つかる江別の魅力

酪農学園大学・牧場

「江別には何もない」という人は多いですね。本当に何もないのでしょうか?

江別市は縄文時代から人が住んでいた形跡があり、開拓の歴史も古く、史跡・名所も多くあります。また農業や特産品など資源にも溢れています。お気に入りの飲食店などもあるのでは?

「江別は仕事が潤沢にあるわけではないので、ある程度江別から出て行くのはしょうがないことなんですよね。就職や大学進学で東京に行ったりした時に地元のことを何もないって言わないで、実は色々なものがあるよと言ってくれることが大事で、それを”風が強い”とか、そういうネタじゃなくて話せるように、そのための情報発信が必要とも思っています」

情報も受動的に構えていると入ってこないものなので、能動的に情報を得られるようになってほしいと話します。

「悪いところに注目すると、悪いところがいくらでも見つけられる。何もないっていうことは、自分が情報から引きこもってるからなので、引きこもりを脱出して実際に行ってみたら、思っていたのと違うな、面白いな、みたいなこともある。そういった体験を通してみれば『見え方』も『得られる情報』も違ってきますよね」

私たち一人ひとりがシティプロモーター(※1)なんだという意識をもって、まちを見てみると江別の魅力はこれからもたくさん見つけられそうです。

※1:シティプロモート・シティプロモーションとは?

自治体などが地域の魅力を発信し、イメージを高めて地域経済を活性化するために実施する宣伝・広報・営業活動のこと。

 

えべちゅん飼育係の活動

えべチュン

成田さんは、江別観光協会ゆる認定キャラクターとして市内外のイベントに参加する『えべチュン』の飼育係の活動もされています。

「えべチュンがイベントに行くと子どもたちの目が輝いて、駆け寄ってきて抱きついてくる子もいます。イベントもえべチュン登場によって盛り上がります」

えべチュンは、街を活性化することを目的に、市内異業種交流会で集まった皆さんで「江別らしい何かが作れないか?」という話から誕生しました。2008年10月4日に生まれたえべチュンを「飼育係」と称する有志の方々が、大切に育て地域社会に受け入れてもらえるためにPR活動を続けてきました。市外・道外で行われる ゆるキャラが集まるイベントに多く出演することで えべチュンは人気を得て、当時は江別市内での知名度よりもご当地キャラとして全国からの方が注目度・人気度が高かったそうです。

「今でもイベントにえべチュン出るというと、札幌から来てくれる人もいるし、えべチュンが推しているえべチュンら〜めんやえべチュンサブレを実際に買ったという話が聞こえてくると嬉しいですね」

えべチュンが手に持っている麦の穂を見て、子どもたちが「これ何?」と言ってると、ファンの人が「ハルユタカって言うんだよ」って説明してくれている光景などを見かけると、えべチュンを通してレンガや小麦のことを知ってもらえていて「えべチュンが江別のPRにすごく重要なことをしてるな」と思っているそうです。

コロナでイベントが開催される機会が少なくなっていましたが、「これから色々なイベントにえべチュンが出没するので会いに来てください」とえべチュンの様子を教えてくれました。

 

子ども時代と今の仕事に就くきっかけ

昭和50年頃の江別市航空写真

※昭和50年頃の野幌市街地の航空写真。中央に「ニチイ江別店」が見える。この時点の現「イオン江別店」の店舗がある場所はまだ煉瓦工場。

成田さんは網走生まれで2歳から江別に住んでいて、子どもの頃は野球と卓球をやっていたので近くの公園でよく遊んでいたと、昭和50年代前半の頃の航空写真を見せてくれました。

「子どもの頃の思い出は?と聞かれても、外で遊んでたくらいで何もしてないんですよね」と少し困ったような成田さん。確かに当時は、子どもだけで活動できる行動範囲はせいぜい学区内くらいで、まちのイベントも今ほど活発ではなく、家族で出かける機会も場所も多くはありませんでした。中央小、二中、大麻高校、札幌大学と江別で暮らしていましたが、江別への愛着があったか?と言われると「これといって江別の愛着はなかった」というのは仕方がないことなのかもしれません。

大学卒業後に就職した会社で3年目に室蘭で勤務をすることになりました。慣れない土地で暮らしているうちに地元江別に対しての愛着が湧きはじめ、地元で何か起業しようと「パソコンのWindows98が出た頃かな。これからの時代を考えた時に、パソコンが日常に使われるようになっていくだろうから、パソコンのお店を開こう」と、江別でパソコン教室と自作パーツを扱うパソコンショップを開業しました。

「開業から5年が経ち、DELLのようなネット販売が流行りだしてきてパソコンが急激に安くなっちゃったんですよ。多分この先ダメになるだろうと思ってその前に店舗は畳んだんです。今もひっそりと昔からのつながりや紹介でインターネットが繋がらないとか、パソコンが起動しないとか、トラブルを解消することは続けているんですけど」と、個人事業主としてもお仕事もされています。

店舗を畳んだ後、「他の会社に就くんですけど、そこで、江別のポータルサイトと江別の特産品ネット販売の「えべつもぉる!」の運営をしていたんです。」

そのサイトは今はないのですが「お店や求人情報、不動産も一元管理してるようなサイトがあったほうがいいし、そういうのがあれば面白いし、全部の情報があるポータルサイトがあって、そこに記事として発信していく力を合わせるのが一番なのかな」と情報の一元化の重要性をよくご存知です。

そういった活動をされている中、成田さんに「”まち検定”を手伝ってくれないか」という話が舞い込み、2011年よりえべつ協働ねっとわーくの活動に関わるようになり、江別まち検定の運営などを行うようになりました。

 

江別を深く知るきっかけづくり「江別まち検定」

江別まち検定テキストブック

江別まち検定は2010年から始まったご当地検定です。実は成田さんは、現在その江別まち検定の問題を作成している方なのです。

「江別まち検定は、ご当地検定のハシリなんですよ」と成田さん。

当時は北海道や札幌、その他市町村でもご当地検定を活用して、地域の魅力を再発見する機会をつくる取り組みがありましたが、多くが撤退している中「受験者がそれほど多くなくて、この値段で続けてるのはうちぐらいですよ」と成田さんは10年以上まち検定の問題を作り続けています。

資格試験とは違い、検定を通じて多くの人に江別を好きになってほしい、江別が好きな人と活力あるまちづくりをしていきたい、ということが目的の「江別まち検定」。みんなに楽しんでもらいたいのでやり続けたいと言いつつ、「問題作成はとても大変」と本音が漏れます。

「普段から常にネタ探しをやってます」という成田さん。リニューアルした旧町村農場のカフェに行った時にも何かネタにならないかなとつい考えちゃいましたと笑います。

特に上級編では、江別マスターとも言えるまちや歴史に詳しい皆さんが試験を受けるわけですが、江別マスターたちも答えられない問題が出せた時、「みんなが気がついていないところを発見できた」と密かに嬉しく思っているのだとか。

「問題をひらめいても、自分が過去にも同じことを考えているかもしれないので、過去問題を見直し、同じになってないか調べなきゃいけないし、問題のレベルを揃えるのが大変なんです」

過去にプリントのミスで同じ問題が出てしまったことが一度だけあったそうですが、「言い回しや選択肢は変えてるんで、まるっきり同じ問題はありません」とキッパリ!むしろ、同じ問題が出てくれた方が正解できるので、同じ問題を出してくれて大丈夫です!ということは成田さんにお伝えしました・・・。

検定試験合格者の中には検定受験をきっかけに江別観光ボランティアガイドとして江別市を案内されている人もいます。

「協働の一つとしては、自分が身につけたこと、学んだことを誰かに教えるっていうのはすごく大事なこと」と人から広めていくことでどんどん輪が広がっていくので、まち検定から生まれたボランティアガイドや、まちけんキッズ応援隊の活動にはとても感謝しているそうです。

 

「江別まち検定」から誕生した「えべつまちけんキッズ応援隊」

えべつまちけんキッズ応援隊

「えべつまちけんキッズ応援隊」とは、江別まち検定の受験経験キッズで結成された、「えべつ」と「まち検定」の応援隊です。まち検定を通して学んだ江別の魅力を、実際にまち歩きをしながら、キッズだからこそ気付ける視点でFacebookから情報発信しています。

「生涯学習として高齢者がまち検定を受けてくれるのも、もちろんありがたいのですが、小学生、中学生への意識づけをする方が変化のスピードが出ると思っています。子供のものすごい力で大人が引っ張られていきます」と成田さん。

対雁小学校では出前授業を行い、江別市の何が好きかを話し合いながら、通学区域には、総理大臣表彰を受賞した自主防犯ボランティア団体「いきいき行動隊」という取り組みがあることを紹介し、「自分たちのできることで関わっていきましょう」と、協働とは何かを子どもたちに伝えます。

「まち検もきっかけのひとつ。だからそういうきっかけの詰み重ねだと思うんですよ。歴史やまちの成り立ちを知らないままでも暮らしていけるけど、知るとやっぱり意識が変わる。」

子どもたちがいくら意識を持ってても、親が何の興味もなかったら子どもたちも興味を失ってしまいますが、家族でまち検定を受けてみたお宅では、まち検定の問題が家族の話題になり会話も増えたそう。問題に出ていた場所に行ってみたいと子どもから言われ、実際に足を運ぶのも家族の楽しみになったとか。

「まち検じゃなくてもいいですけど、子どもたちにもいろんな体験をしてほしいし、いろんなところに行ってほしい。親が興味なければどこかに食べに行くだけでもいいと思うんです」と、自分の住んでるまちが楽しいなと好奇心を持って子ども時代を過ごせることは、幸せですよね。

まち検定や出前事業を受けて、少しでも江別に興味や愛着を持った子どもたちが一人でも二人増えるだけで、協働への理解が増し、市民のまちへの関わり方が違ってくるのだと思います。

「江別のあちこちに出かけることを子どもの頃から体験してると、大人になってからも躊躇なく行けるようになってくるので、そういう子たちが親になった時には、江別の魅力を知った大人が増えて、さらにその大人たちが子供たちに魅力を伝えて…となれば。もう30年計画になっちゃうんですけど。」と、先の長い話になりますが、今の子どもたちが大人になった未来の江別のための、とても有意義な活動だと思いました。

 

休日の過ごし方とジモガク

成田 裕之さん

休日の過ごし方を聞いてみると「いろんなお店に食べに行ったり、リフレッシュとしては温泉入ったりとか、たまゆらも湯の花も行くんですけど、車走らせて近隣市街に行くことも多い」という成田さん。

「人混みが少ない空地方面に行くことが多くて、ジモガク(※2)で栗山とか南幌などでもいろいろ活動しているので、町のイベントやいろんなワークショップも含めて、ついたくさん見に行ってしまいます。」と、近隣市町に出かけても「まちづくり」的な視点で頭がいっぱいのようです。仕事なのかプライベートなのか分からないですね。

※2:ジモガク(学生地域定着推進広域連携協議会)とは?

江別市内にある4大学の学生の皆さんが、道内8つの自治体(芦別市・赤平市・江別市・三笠市・南幌町・由仁町・長沼町・栗山町)での地域活動に参加しやすいようにマッチング支援を行う活動。

https://gakusei-chiiki.net/

 

これからの江別で楽しく暮らすためには?

第3回えべつマルシェ イベント会場の様子

「それまでは何もないってわけじゃないんですけど、ここ10年から15年くらい前から”農家のかあさん土曜市”とか様々なイベントが始まって、いろんな人がいろいろな場所で活動が始まってきたなと思うんです。多くのまちの人が動けば色んなことが楽しい方向へ変わってくる。」

今、ぷらっとで活動している高齢者の様子から、自分たちがその年代になった時に江別で楽しく暮らしているためのヒントがあると成田さんは言います。

「江別で楽しく過ごしている方は、自分の生活に何か一つでも、このまちに関わることをプラスアルファで持っている。それは仕事でもいいですし、習い事やサークル活動、市民活動でもいい、”何か一つでも楽いことをやる”という風になっていけたら」と、自分もそうなっていたいと教えてくれました。

成田さんの活動は、地味でありながらも、江別市民ひとりひとりの幸せをしっかりとした形で支え広げていく活動だと思いました。成田さんをはじめ「NPO法人えべつ協働ねっとわーく」の活動があれば我々の老後も楽しいに違いないと確信するのでした。

 

公式サイト情報

「NPO法人えべつ協働ねっとわーく」の活動や、イベント・ニュースなどが分かる「江別市民活動センター・あい」公式サイトは以下。

江別市民活動センター・あい/公式サイト

 

※内容は取材時点(2024年7月)のものです。

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えべナビ編集部

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