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江別市条丁目地区とJR大麻駅に進出予定だった『ダイエー』頓挫の歴史

JR江別駅

かつて江別市では、JR江別駅前の条丁目地区とJR大麻駅の二ヶ所で、大型商業施設『ダイエー』の進出計画がありました。

この記事ではそれぞれの地区でのダイエー進出計画・頓挫の歴史を記録します。

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江別市条丁目地区のダイエー進出計画

江別・条丁目地区に大型商業施設を誘致する話は昭和50年代頃からかなり活発になっていたようです。

既にその頃から条丁目地区の商店街は倒産・廃業が増えていたと言います。

というのも、1978年(昭和53年)に野幌地区に『ニチイ江別店』『イトーヨーカドー江別店』という大型店が進出したことで、江別地区商店街の衰退が加速していたからです。

また、江別の本町通りにあった『王子サービスセンター・王子店(7条7丁目)』が1987年(昭和62年)9月に休業となってしまいます。

そういった事情もあって、新たな商業施設建設が模索されていました。

 

商業ビル建設計画

江別条丁目 大型商業ビル建設計画

出典:えべつ昭和史 p.666より

1987年(昭和62年)1月、『江別都市整備公社(S.59年11月設立)』は商業ビル建設構想をまとめました。

同構想の骨子は、コミュニティセンターに隣接する3条6丁目の私有地約3,600㎡(同年7月、4,655㎡に計画変更)に約20億円をかけ、地下1階地上一部4階建て、床面積約1万㎡のビルを建設。地下は駐車場、1階から3階までは商店がテナントとして入居する、というものである。

(中略)

62年7月、同構想を発展させるかたちで江別駅前商業ビル推進グループ(江別都市整備公社・江別駅前商業ビル推進委員会・㈱円青社札幌支店)の手により、約26億円の事業費を投じ3条6丁目街区に、量販店と専門店、飲食店、その他で構成する(仮)江別駅前商業ビル構想がまとめられることになる。問題はビル建設のデベロッパーがあるや、いなや、である。かつ、デベロッパーに開発をゆだねる以上、その意向による構想の変更は織り込み済みであったとはいえ、その変更の幅にどう対応(地元が)できるかということに集約された。

出典:えべつ昭和史 p.667

この後、特定の大型店の進出が具体的に浮上したとのことですが、「江別都市整備公社」が経営面の行き詰まりから平成元年2月に正式解散。

同年にコミュニティセンターが完成するも、それらと一体となって地域活性化の核となる予定だった商業ビルは進展せず、江別市街地の凋落は続く一方となりました。

 

1990年(平成2年)、ダイエー進出断念。その理由

市議会でも多くの議論がされ、「核施設としての大型店の進出こそ、起死回生策として切望」とされていましたが、交渉相手となっていた「ダイエー」の進出断念が確定し、再開発計画はついに頓挫したのでした。

しかし、平成2年4月、大型店の交渉相手であったダイエーの進出断念が確定した。断念の理由は、経営戦略としてショッピングとレジャーを合わせた大型店としたいが、必要な最低3万3千㎡程度の用地確保が困難ということであった。特に同地区は地権者が多く、かつ地権者と建物所有者が別々のケースも少なくなく、結局、調整が暗礁に乗り上げたのだ。ここに江別商店街の近代化を目した再開発計画は一頓挫し、再び仕切り直しとなった。

出典:えべつ昭和史 p.669

江別市コミュニティセンター

コミュニティセンターに隣接するはずだったダイエーができていたら…?街はどのように変わったでしょうか。

 

大麻駅に進出予定だったダイエー、地元の反対が強かった?

大麻駅北口駅舎

江別市ではもう一箇所でもダイエー進出の計画がありました。場所はJR大麻駅の西側にある鉄道林です。

こうした推移の中で、五年(※)、大麻駅前ショッピングセンターの核店舗、イトーヨーカドー大麻店が撤退し、ラルズ大麻店に替わる。また、大麻駅西側に北海道JR・ダイエーの進出問題が起こる。

※注:平成5年(1993年)
出典:新江別市史 p720

 

「新江別市史」「えべつ昭和史」における大麻駅西側のダイエー進出計画については詳しく述べられていないのですが、この出店計画については地元の反対がかなり強かった様子で、上記の江別市史でも「ダイエーの進出”問題”」としているところからも微妙なニュアンスが読み取れます。

以下は、地元のダイエー進出反対の状況が読み取れる資料の一部。

 

江別市大麻地区ではJR北海道と 大手スーパーダイエーの合弁企業が,地元の反対にもかかわらず大型店を出店しようとしている。大店法が実質的には全くの骨抜きになった間隙をついて,大手スーパーの出店競争が再燃しようとしている。

出典:大型店の進出と流通・商業の変貌一北海道の実態を事例に一

 

さらに江別市議会会議録では以下のような記録も残されています。

ダイエーの進出を阻止するため、さらには埋蔵文化財などの可能性があるといったことなどから、国鉄に大金を払って市が鉄道林を購入し、駅を中心にした開発構想を提示してきました。しかし、情勢が激変し、一向に手を着けることがなく、業を煮やした大麻まちづくり協議会の環境部会が、自分たちでできることから手を着けようといって、去年からアジサイロードと銘打って植栽を始めています。この取り組みに共感した市民からアジサイの提供を受け、先日、今年度の植栽を終えた次第です。これを契機にして、鉄道林の中に入って行こうと言っています。遊歩道を整備し、あずまやを造り、高齢者に優しいまちづくりの一環に位置付けたいと考えています。行政と市民が一緒になって手作りの開発を願っています。大麻西公園も去年、同じ認識で取り組んでいます。一日も早くテーブルを作っていただきたい。この鉄道林の中に憩いの広場や公園を造ることで、駅前のショッピングセンターは大型店の進出に備えた戦略を立てることができるのです。

出典:平成16年第2回江別市議会会議録(第2号)平成16年6月10日 2ページ

条丁目の商業施設では市をあげて熱心に誘致活動を行っていましたが、対して大麻駅のダイエー進出については真っ向反対姿勢というのは興味深いところです。

条丁目地区も大麻地区も、大型商業施設がオープンしていたとしたら、はたしてどうなっていたでしょう。

以上、江別市の条丁目地区・大麻駅西側のダイエー進出計画頓挫の歴史についてでした。

 

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