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江別市が舞台『土に贖う』河崎 秋子(著) 新田次郎文学賞受賞!三島由紀夫賞 候補作品

河崎秋子・土に贖う

北海道江別市が舞台の表題作「土に贖(あがな)う」「うまねむる」等、北海道を舞台に描かれた7編を収録した河崎 秋子著『土に贖う』

この小説は2020年に「第38回 新田次郎文学賞」を受賞し、また「第33回 三島由紀夫賞」候補にもなっている話題作です。

江別市のレンガ工場を舞台にした作品もある「土に贖う」とはどんな小説なのでしょうか。

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江別市が舞台『土に贖う』河崎 秋子(著) 新田次郎文学賞受賞!三島由紀夫賞 候補作品

河崎秋子著「土に贖う」は、2019年(令和元年)9月5日に発売された短編集。

この作品は、2020年度「第38回 新田次郎文学賞(2020年4月14日決定)」を受賞、また「第33回 三島由紀夫賞」候補作品にもなっています。

大藪春彦賞受賞第一作!
明治時代の札幌で蚕が桑を食べる音を子守唄に育った少女が見つめる父の姿。「未来なんて全て鉈で刻んでしまえればいいのに」(「蛹の家」)
昭和初期、北見ではハッカ栽培が盛んだった。リツ子の夫は出征したまま帰らぬ人となり、日本産ハッカも衰退していく。「全く無くなるわけでない。形を変えて、また生きられる」(「翠に蔓延る」)
昭和三十五年、江別市。装鉄屋の父を持つ雄一は、自身の通う小学校の畑が馬によって耕される様子を固唾を飲んで見つめていた。木が折れるような不吉な音を立てて、馬が倒れ、もがき、死んでいくまでをも。「俺ら人間はみな阿呆です。馬ばかりが偉えんです」(「うまねむる」)
昭和26年、最年少の頭目である吉正が担当している組員のひとり、渡が急死した。「人の旦那、殺してといてこれか」(「土に贖う」)など北海道を舞台に描かれた全7編。
これは今なお続く、産業への悼みだ――。

カバー画:久野志乃「新種の森の博物誌」

【著者略歴】
河崎秋子(かわさき・あきこ)
1979年北海道別海町生まれ。『颶風の王』で2014年に三浦綾子文学賞、2016年にJRA賞馬事文化賞を受賞。2019年『肉弾』で大藪春彦賞を受賞。

土に贖うより引用

 

土に贖う、目次と作品の舞台・テーマ

以下、土に贖うの目次。()内は作品の舞台、[]は作品のテーマとなる主な産業。

  • 蛹の家(札幌市)[養蚕業]
  • 頸、冷える(道東の野付・茨散沼)[ミンク]
  • 翠に蔓延る(北見市)[ハッカ栽培]
  • 南北海鳥異聞(函館沖・渡島の大島)[羽毛]
  • うまねむる(江別市)[蹄鉄・馬関連産業]
  • 土に贖う(江別市)[レンガ工場]
  • 温む骨(江別市)[陶芸]

 

北海道の”記録に残らない”労働者の物語

「土に贖う」の各短編は、北海道内の廃れていく産業の中で懸命に生きる労働者の物語。

プロレタリア文学の蟹工船を思わせる、陰鬱な重さと悲哀を感じさせる物語が、リアルな筆致で心に爪痕を残します。

江別市野幌のレンガ工場が舞台となる「土に贖う」は、最終章の「温む骨」と元は一つの話だったのを2つに分けたとのこと。

「温む骨」のみが現代の話になっていて、個人的には一番心に残りました。

各短編がそれぞれ長編として描かれても不思議ではない重厚感のある話となっていて、とにかく読み応えのある一冊です。

テーマとなる産業は、道民でもあまり知られていない(かもしれない)北海道開拓期の知られざる産業の、労働者の、家族の物語を感じることができる稀有な作品。オススメです。

 

「土に贖う」感想・レビュー

上記リンク先の「読書メーター」では数多くの感想・レビューを読むことができます。

一部ネタバレが含まれていますので、読む際はご注意ください。

 

河崎秋子 経歴プロフィール

ちなみに、作者の河崎秋子さん(1979年生まれ)は、北海道別海町で羊飼いをしている方だそうです。

Wikipediaでは以下のように経歴が紹介されています。

経歴・人物

北海道別海町生まれ。2002年、北海学園大学経済学部を卒業する。学生時代は文芸サークルに所属していた。大学卒業後、ニュージーランドで1年間、綿羊の飼育技術を学ぶ。酪農を営む別海町の実家で酪農従業員の傍ら、綿羊を飼育・出荷している。

(中略)

2014年、「颶風の王」で三浦綾子文学賞を受賞する。2016年、同作でJRA賞馬事文化賞を受賞する。「作家では中島敦が好きで、憧れている」と語っている。2019年、『肉弾』で第21回大藪春彦賞受賞。2020年、『土に贖う』で第39回新田次郎文学賞受賞。

作品リスト

  • 『颶風の王』(2015年8月 KADOKAWA)
  • 『肉弾』(2017年10月 KADOKAWA)
  • 『土に贖う』(2019年9月 集英社)

引用元:河崎秋子/Wikipedia

 

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