もくじ
秋のゾーン
3番通りを境にして、ここから秋のゾーンの散歩道になります。
左側には駐車場もあります。
ホタルの道でカーブしてきた廃線跡はここから直線になりますが、碁盤の目の住宅地を斜めに突っ切る線形になっているのが特徴です。
保存車両 ディーゼル機関車と石炭貨車
秋のゾーンには留置されている保存車両があります。
しかし、積雪による痛みを避けるため冬の間はシートカバーに覆われて姿が見えません…。
というわけで、夏に見に行った時の写真を紹介します。
オレンジ色のディーゼル機関車と石炭を運ぶ貨車の二両編成で保存されています。
江別の歴史を伝える貴重な車両です。
後ろに連結された『セキ8026』。
荷重30トン、自重16トンと書かれています。
この車両が石炭を積んで発電所を往復していました。
ディーゼル機関車と石炭貨車の案内板。
ディーゼル機関車
各地の炭鉱から石炭をいっぱいに積んだ石炭貨車が江別駅に着くと、そこから発電所までの約2キロメートルの引込線をこのディーゼル機関車が石炭貨車を引っ張って、1日何回も往復をしていました。
形は小さいけれどとても力があり、12~13両の貨車をらくらくと引っ張ることが出来ました。石炭貨車(セキ車)
石炭を運ぶため特別な形をしているこの貨車は、1両で30トンの石炭を積むことができます。
炭鉱で積み込まれた石炭は、機関車に引かれて発電所まで運ばれ、そこで貨車の底のふたを全開にして石炭を貯炭場へ通ずるベルトコンベアーの上へ落とします。
多い時には、1日に80両の石炭貨車が発電所で使う両の約半分(2,500トン)の石炭を運びました。
ディーゼル機関車に付いていた「日立」のプレート。
日立製作所が製造したディーゼル機関車なんですね。
火力発電所の仕組みと歴史
火力発電所のしくみ案内板。
北海道電力(株)江別発電所の歴史
江別発電所は石狩川より発電用の冷却水を容易に取水できること、石狩炭田に近接することなど発電所建設の立地条件に恵まれていたことから、昭和9年、当時の北海道電燈(株)により江別町対雁の地に建設が始められた。その後、昭和10年12月、社名を変更した北海道電力(株)により、1万2千500kwの発電設備が完成され、江別発電所が誕生しました。その後、太平洋戦争を経るなど設備運転に苦しんだ時代もありましたが、昭和29年、最後の増設を行い、発電機4台、認可出力7万kwの発電所として活躍しました。その間、社会情勢を反映し、会社名も日本発送電(株)を経て昭和26年、北海道電力(株)へ引き継がれました。
昭和30年代に入ると、産業の復興、家庭の電化などを反映し、電力需要も大きく増加することが予想されたため、江別発電所に隣接して新江別発電所を建設することとなりました。新江別発電所は昭和35年に着工し、昭和38年2月から昭和40年7月にかけ、12万5千kwの発電所となりました。この出力は、昭和47年5月苫小牧共同発電(株)2号機が運転開始するまで北海道最大のものでした。その後、出力7万kwの発電所は設備の老朽化のため昭和47年廃止撤去され、新江別発電所は昭和48年1月、江別発電所へ所名を変更し今日にいたりました。
しかし、建設当時最新技術を誇った発電所も設備の老朽化には勝てず、平成元年3月より順次発電設備を廃止し、平成3年3月末、55年間におよぶ歴史を閉じました。
発展を続ける江別市とともに歩んで来た発電所機器の一部をここに展示し、江別発電所の記念としました。
蒸気タービン
ディーゼル機関車の隣に半円ドームに覆われた「蒸気タービン」が保存されています。
蒸気タービンの案内板。
蒸気タービン
火力発電所では、ボイラーで作られた高温・高圧の蒸気をパイプを通して蒸気タービンへ送り、タービンを1分間に3,000回転まわします。この力で発電機をまわし電気を発生させます。
ここに展示したのは、12万5千キロワットを発生する蒸気タービンの回転体(タービンローター)全体で、高圧(10段)、中圧(12段)および低圧(5段×2)から成っています。
1平方センチあたり127キログラムの圧力、538℃の温度の蒸気を1時間当たり約373トン使って12万5千キロワットの電気を発生しました。
秋のゾーンの散歩道に並ぶ発電所の機器。
不思議な雰囲気があります。
微粉炭機(ミル)
微粉炭機。
機器の間から草が繁茂し、時の流れを感じさせます。
微粉炭機(ミル)の説明板。
微粉炭機(ミル)
火力発電所では、石炭を細かい粉(微粉炭)にして燃やしますが、この石炭を粉にする機械を微粉炭機(ミル)といいます。
微粉炭機(ミル)には、ボールまたはローラーを利用して石臼のように石炭を粉砕する立て型のものと、外数の鋼玉を入れた円筒を回転させる横型のものなどがあります。
江別発電所ではこのうち、ボールを使用する立て型(Eミル)と横型(チューブミル)の微粉炭機(ミル)を使っていました。
ここに展示したのは、立て型微粉炭機(Eミル)の石炭粉砕部で、1時間に15.5トンの石炭を粉にする能力があり、12万5千キロワットを発電するのに5台の微粉炭機が使われました。
遮断器
特撮映画か何かに出てきそうな大きな物体、「遮断器」。
遮断器の説明板。
遮断器
発電所とか変電所では、18万7千ボルト、1,000アンペアといった高電圧、高電流の電気をあつかいます。送電線の作業とか事故時、また、発電所の作業とか事故時、電気回路を切る必要があります。このスイッチが遮断器です。
遮断器のスイッチ部分は、電気の絶縁体である空気、油、もしくは絶縁ガスなどでつつまれた、いろいろな形式のものがあります。
江別発電所では、油を使った油入遮断器(OCB)が使用されていました。油タンクには、5,000リットルの油が入っていました。
秋のゾーンは車両と発電所機器が置かれているのみのエリアといった感じで、散歩道の距離は非常に短いです。
他のゾーンと違って歩道脇に駐車場が設けられているので、車両や機器類を見に行きたい方には気軽に行ける便利な場所だと思います。
保存車両・発電所機器 アクセス地図
『北海道電力江別火力発電所専用線の廃線跡を歩く(5)』へ続く