北海道江別市にあるJR函館本線・江別駅からは、かつて「王子製紙江別工場専用鉄道」「北海道電力江別火力発電所専用鉄道」の二つの専用線(引き込み線)が延びていました。
いわゆる国鉄や、JR、私鉄といった旅客扱いをする鉄道跡ではなく、工場への引込線ですからちょっとマニアックですね。
しかしかつて鉄道の線路が延びていた、と想像しながら廃線跡を歩くとワクワクします。
そんなわけで、今回は「北海道電力江別火力発電所専用鉄道」の廃線跡を歩いてみようと思います。
王子製紙江別工場専用線の廃線跡を歩く
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北海道電力江別火力発電所専用鉄道の歴史
江別火力発電所専用線の略歴は以下のとおりです。
- 1935年(昭和10年) - 大日本電力(後の北海道電力)江別火力発電所用専用線が運用開始。
同年夏頃に敷設完了。建築資材や機械類の搬入は王子製紙の専用線と馬車を使用した。
12月19日同発電所建設第一期工事完了及び送電開始とともに運用開始され、発電所で使用される石炭を輸送していた。
当初は江別駅方向から外へ分岐する形で、1960年(昭和35年)12月からの江別火力発電所新工場建設に併せ、本線に沿って高砂方面へ向かった後スイッチバックを行い発電所へ向かう線形に変更された。- 1986年(昭和61年)5月6日 - 王子製紙江別工場(現在の王子特殊紙江別工場)専用鉄道が廃止。
- 1991年(平成3年)3月 - 北海道電力江別火力発電所専用鉄道が廃止。
発電所の閉鎖に伴い廃止された。これ以降、貨物列車の発着はない。Wikipedia:江別駅の項目より引用
56年間の長きに渡って引込線の線路が活用されていました。
そういう意味では地元の人には馴染みの深い線路と言えます。
1950年(昭和25年)江別駅周辺の古地図
1950年(昭和25年)江別駅周辺の古地図(出典:国土地理院ホームページ)
江別駅を出た火力発電所専用線はそのまま外側へカーブしている時代です。
王子製紙江別工場専用線もしっかり見えます。
この当時の王子製紙専用線はかなり奥のほうまで線路が延びているのが分かります(後年線路が短くなります)。
また江別駅東側の石狩川沿いを見ると、川沿いに線路が延びていたことも分かります。
1975年(昭和50年)江別駅周辺の航空写真
1975年(昭和50年)江別駅周辺の航空写真(出典:国土地理院ホームページ)
この頃になると火力発電所専用線の線形が変わっていることに気が付きます。
1950年の地図では江別を出るとそのまま外側へカーブしていた線路は消え、高砂方面に向かってスイッチバックし、火力発電所へ向かう線形になっています。
また函館本線の本線とは別に、火力発電所専用線の線路が側線として設けられていることも見て取れます。
1991年(平成3年)3月に北海道電力江別火力発電所専用鉄道は廃止されました。
では現在はどうなっているのか、函館本線のスイッチバック跡から発電所まで歩いた記録を紹介していきます。
『北海道電力江別火力発電所専用線の廃線跡を歩く(2)』へ続く