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【江別市役所の歴史】夜も歩けない!庁舎移転反対運動&旧庁舎の写真

江別市役所

江別市役所の本庁舎が老朽化と耐震性の問題で、建て替え・移転することが決定しました。

※移転に関する詳細は以下の記事をご参照ください。

この記事では、江別市役所の旧庁舎時代の話から、現庁舎建設までの歴史をご紹介したいと思います。

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【江別市役所 庁舎の歴史】大正14年(1925年)築の旧庁舎

江別市役所旧庁舎(1925年)

出典:えべつ昭和史 p.323

江別市6条8丁目(現 JA道央 江別支店)にあった大正14年(1925年)築のかつての江別市役所庁舎の写真(昭和38年頃の様子)。

この当時はまだ「江別町」役場で、昭和29年の市制施行により市庁舎となりました。

建設当時は洋風モダンな意匠で素敵な建築だったのだろうと思われますが、老朽化が問題となった頃の旧庁舎は『古い、狭い、暗い』と散々な悪評だったようです。

当時の市庁舎(6条8丁目)は、大正14年建築の木造2階建の老朽庁舎である。松川市長自ら、ひとたび地震がくれば崩壊しかねないと眉をひそめるほどであった。加えて、戦後の諸改革や29年の市制施行などによる事務の増台にあわせ、タコの足のように木造平屋の増築を重ねていたため、内部は狭い迷路の感を呈した。事実、庁舎奥の土木課へ来た市民が、出口玄関をさがしてうろつく光景も珍しいことではなかった。

出典:えべつ昭和史 p.323

現在の老朽化の問題や市施設があちこちに増えていった様が、当時の状況がよく似ていますね。

 

増築前の旧庁舎

江別市役所旧庁舎(大正時代建築))

出典:新 江別市史 p563 『築40年をへて、市庁舎はその痛みがひどかった』

ちなみにこちらは『新江別市史』に掲載されている旧江別市役所庁舎の写真。

撮影時期は不明ですが、まだ増築されていない時代のもので、建物側面の様子が分かります。

 

江別市庁舎移転の場所、移転候補地は3つあった

現在の江別市役所本庁舎(江別市高砂町6)に決定するまでは、用地候補として3つの案がありました。

  1. 江別市高砂町6番地(市有地) 4,300坪
  2. 江別市元江別405番地(私有地) 5,000坪
  3. 江別市錦町30番地(私有地) 5,000坪

候補地選定においては、5丁目通りと6丁目通りの中間で、国道12号と2番通りに挟まれたゾーンが望ましいとして選ばれたようです。

最終的に『江別市街、野幌町へ、いずれも約2kmの間隔でもあり、将来の中心地帯と考えられる理想的な場所である』として、現住所「江別市高砂町6番地」が選ばれることになります。

 

夜も歩けない!?江別市庁舎新築移転反対運動

しかし、江別市庁舎の移転には多額となる建築費財源問題の他、「移転反対運動」が勃発します。この反対運動は相当なものだったそうです。

そして、最も大きな難関は、市庁舎の移転そのものに強く反発している江別市街地住民の説得であった。はたして、前述の臨時議会から4日後、同市街地有志からなる江別市庁舎移転反対期成会から“移転時期尚早”“当面は現在地に3階建程度の規模の新庁舎を建設”することを主意とした陳述書が提出されることになる。
江別市街地の住民にとり、市庁舎の移転は即街の衰退に結び付くとの危機感があった特に商業関係者の反対は強固であった。当時の新庁舎建設特別委員会の委員長岡崎重雄は『街の反対は凄かった。本当にね、夜(街)歩けなかったです。家内にね、あるいは怪我をして帰ってくるかもしれないよ、と言ったことある』と苦笑混りに述懐する。まさか暴力沙汰の心配はなかろうが、一種険悪な空気が流れていたことは否定しようもなかった。

出典:えべつ昭和史 p.324
※太字は筆者による

商店街などの商業関係者にとって『市庁舎の移転は即街の衰退に結び付くとの危機感』は相当なものがあったのではと思われます。

また、この庁舎移転後には江別市街地を通っていた国道12号の移転問題(※)も重なり、江別駅前は衰退の一途を辿ることになります。

※昭和40年代はまだ国道12号線は江別駅前を走っていました。

 

驚きのスピード建設!昭和41年(1966年)築の現本庁舎

江別市役所本庁舎(1966年)

出典:えべつ昭和史 p.325

昭和41年(1966年)に完成した現在の江別市役所本庁舎。写真は昭和42年10月当時の様子。

本庁舎移転に関しては移転反対運動で揉めに揉めましたが、一旦決定してからは瞬く間に完成することになります。

現在の本庁舎ができるまでの略歴は以下の通りです。

  • 昭和39年6月開催の議会で市役所の位置を高砂町6番地とする条例案を可決
  • 昭和40年3月、新庁舎調査委員会設置
  • 昭和41年2月、総額2億2千800万円の建設計画が可決
  • 昭和41年3月、新庁舎建設工事開始
  • 昭和41年11月、新庁舎竣工

建設地が決まってからわずか2年半、工期に至ってはわずか8ヶ月で竣工しています。

そして新庁舎の開庁式は昭和41年12月14日に行われ、翌15・16両日に一般公開。そして同19日から新庁舎での執務が開始されます。

また、当時公民館に分散されていた教育委員会、青少年対策室、議会(議事堂、事務局など)も新庁舎に集約されました。

 

次の新しい本庁舎ができるのが2027年度(予定)。当時のスピード建設とまではいかないまでも、もう少し早くできると便利になって耐震的にも安心できるのですけどね。

なにはともあれ、新しい庁舎がどんな建物になるのか楽しみです。

 

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