
江別市2条1丁目付近、千歳川沿いにある歴史的建造物「旧岡田倉庫」の周辺で、整備工事が大きく進んでいます。
2026年9月上旬に現地を訪れてみると、移転・復元された石造りの旧岡田倉庫の隣には大規模な足場が組まれ、その内部では木造建物の柱や梁が立ち上がっていました。
現地の工事看板や江別市の資料を確認すると、建設中なのは旧岡田倉庫と一体的に活用するための付帯施設で、かつて隣接していた「旧岡田住宅」を改築するものです。
周辺では千歳川の堤防工事も進められており、この一帯は江別市と国が進める「かわまちづくり」の拠点として、大きく姿を変えつつあります。
※記事内の写真は2026年9月4日撮影(地図を除く)
スポンサーリンク
もくじ
旧岡田倉庫の隣で木造建物の骨組みが立ち上がる

2026年9月上旬時点の旧岡田倉庫周辺です。
旧岡田倉庫については、千歳川の堤防整備に伴って従来の場所から移転する必要が生じ、2025年1月に移転・復元工事が完了しました。
現在は札幌軟石を使用した特徴的な外壁と新しい屋根が整えられ、倉庫周囲の舗装など外構部分もかなり完成した状態となっています。

そのすぐ隣では、新たな木造建物の工事が本格化しています。
現地では建物を囲むように複数階の足場が組まれ、その内側には柱や梁が並び、建物のおおよその大きさや形が分かる段階まで工事が進んでいました。
建設中なのは「旧岡田住宅」を改築した付帯施設

現地に掲示されている工事名は「旧岡田倉庫付帯施設改築工事」。
この建物は、旧岡田倉庫に隣接していた「旧岡田住宅」を、倉庫と一体的に活用するために改築しているものです。
旧岡田住宅は約90年前に建てられた建物で、北東側の平屋部分と、西南側の2階建て部分から構成されていました。1998年には旧岡田倉庫とともに江別市へ寄贈され、その後も倉庫と一体的に利用されてきました。
ただし老朽化が進んでいたため、従来の建物をそのまま残すのではなく、基礎や土台などを更新して安全性を確保するとともに、歴史的な外観や意匠を考慮した形で改築することになっています。
会社通り側には2階建て部分、堤防側には平屋部分を設けるなど、旧岡田住宅の外観を意識した設計となっています。

現地の工事看板には完成後のイメージパースも掲示されており、現在立ち上がっている木造部分と比較すると、建物の形がかなり見えてきたことが分かります。
工事期間は2027年2月12日まで
現地の工事看板によると、「旧岡田倉庫付帯施設改築工事」の工期は、
2026年3月31日~2027年2月12日
とされています。
施工は「丸彦渡辺建設株式会社 江別支店」。
江別市議会資料によると、契約金額は1億7,567万円で、建物は道路側から従来より堤防側へ位置を移して改築する計画です。
2026年9月現在は木造部分の建方がかなり進み、完成後の姿を想像できる段階に入っています。
完成後は飲食店などとして活用予定
この付帯施設は単なる管理棟ではなく、旧岡田倉庫と合わせて一般利用される施設となる予定です。
旧岡田倉庫と旧岡田住宅の保存・活用事業者には、江別市内の「Atelier Kibaco株式会社」が選定されています。
江別市が公表している事業提案では、旧岡田住宅側について、
- 飲食店のテナント出店
- アート教室など
といった活用が計画されています。
一方、旧岡田倉庫ではデジタルアートカフェを通常時の用途とするほか、パーティーやスポーツのパブリックビューイングなどのレンタルスペース、若手アーティストの個展会場などとして利用する構想があります。
旧岡田倉庫は江別市指定有形文化財のため、建物そのものには活用上の制約があります。そのため厨房や事務所など、倉庫内だけでは不足する機能を付帯施設側に設け、両施設を一体的に活用する計画です。
現時点で具体的な飲食店名などは公表されていません。
旧岡田倉庫の背後では千歳川の堤防工事も進行

今回現地で大きく変化していたのは建物だけではありません。
旧岡田倉庫の千歳川側では、新しい堤防の整備も進んでいました。
この一帯の堤防整備は国が進めている事業です。
千歳川下流部は洪水時に石狩川の高い水位の影響を長時間受ける地域であり、石狩川との合流点周辺では従来の特殊堤の老朽化なども課題となっていました。
このため、可能な限り土で造る堤防へ改める整備が進められています。
旧岡田倉庫が移転した最大の理由も、この新しい堤防整備の支障となる位置に建っていたためです。
旧岡田倉庫の移転・復元が完了したことで、現在は倉庫があった場所を含めて堤防整備を進められる状態となっています。
2026年度は植生工や階段工なども予定
江別市かわまちづくり協議会の資料によると、条丁目地区では築堤盛土を進め、計画されている堤防断面を形成したうえで、既存の特殊堤を撤去する工程が進められてきました。
2026年度には、堤防の法面を整える植生工や、堤防と周辺をつなぐ階段工なども予定されています。
今回撮影した写真でも、旧岡田倉庫横から堤防へ向かって新たな空間が形成されており、以前とは景観が大きく変わっています。
千歳川・条丁目地区の堤防整備全体については、2027年度中の完了が予定されています。
「かわまちづくり」とは?
旧岡田倉庫と周辺の工事は、それぞれ独立したものではありません。
この一帯では、江別市と国が連携して「江別市かわまちづくり」を進めています。
「かわまちづくり」とは、河川空間と市街地を一体的に整備し、「かわ」と「まち」の両方を活かして地域の魅力向上や賑わい創出につなげる取り組みです。
江別市の計画は2022年8月に国土交通省の「かわまちづくり支援制度」に登録されました。
江別市では、旧岡田倉庫を条丁目地区・大川通地区の地域観光・まちづくりの拠点として位置づけています。
舟運で栄えた「江別港」の歴史を現在のまちづくりへ

この場所が拠点に選ばれている背景には、江別の歴史があります。
旧岡田倉庫は1897年(明治30年)に建てられた木骨石造の商業倉庫で、外壁には札幌軟石が使用されています。
当時の江別は石狩川・千歳川の舟運と鉄道が結び付く交通の要衝で、農産物などが集まる「江別港」として栄えました。
旧岡田倉庫は、その時代の江別を現在に伝える数少ない建築物の一つです。
2017年には江別市の有形文化財に指定されています。
「かわまちづくり」では、この歴史的建造物を単に保存するだけではなく、飲食やアート、イベントなどに活用しながら、千歳川の水辺空間と一体となった新たな地域拠点をつくることを目指しています。
水辺と旧岡田倉庫をつないで新たな賑わいを創出
国土交通省北海道開発局の資料では、江別市のかわまちづくりについて、千歳川の水辺、周辺の歴史的建造物、市街地をつなぐことで、まちなかの回遊性や親水性を高めることが目的とされています。
つまり今回進んでいる整備は、
千歳川の堤防整備
↓
水辺へアクセスしやすい空間づくり
↓
旧岡田倉庫・旧岡田住宅を観光や飲食などの拠点として活用
↓
条丁目地区や江別駅周辺への人の流れをつくる
という一連の構想として進められているものです。
活用事業者の提案では、堤防エリアの整備後に河川敷を利用したアウトドアサウナイベントやマルシェなども計画されています。
旧岡田倉庫・付帯施設は2027年度正式オープン予定
江別市が示しているスケジュールでは、旧岡田倉庫は2026年度にプレオープンし、旧岡田住宅を改築した付帯施設と合わせた正式オープンは2027年度を予定しています。
また、千歳川・条丁目地区の堤防整備も2027年度中の完了予定です。
2026年9月現在の現地では、石造りの旧岡田倉庫、その隣で立ち上がる新しい木造建物、そして背後に形成された大きな堤防が同時に見られ、「かわまちづくり」の全体像が少しずつ目に見える形になってきています。
今後、付帯施設の外観が完成し、堤防の階段や植栽などが整備されていくと、この一帯の景観はさらに大きく変化していきそうです。
※予定は変更になる場合があります。
参照リンク
- 江別市かわまちづくり事業|江別市
- 江別市かわまちづくり協議会|江別市
- 経済建設常任委員会 令和8年2月13日|江別市議会
- 旧岡田倉庫付帯施設改築工事請負契約の締結について|江別市
- 令和7年度 第2回 江別市かわまちづくり協議会資料|江別市
- 経済建設常任委員会 令和7年8月22日|江別市議会
- 江別河川事務所 川づくりの取り組み|国土交通省北海道開発局 札幌開発建設部
- かわまちづくり(水辺整備)|国土交通省北海道開発局 札幌開発建設部






