江別市文京台、国道12号線と文教通り(北翔大学入口付近)の交差点にあるコンビニ「スパー(SPAR)」駐車場。
そこにブルーシートに覆われた謎の物体が置かれています。
今回はこの謎の物体=蒸気機関車について追跡したいと思います。
※2017年10月追記:蒸気機関車が移動しました
※2018年9月追記:山田コレクション「C11 1」が東武鉄道へ売却されました
※2021年7月追記:山田コレクション全保存車両一覧を更新
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もくじ
北海道江別市文京台に放置された謎の蒸気機関車
大きさや形から見て、どう考えても蒸気機関車(SL)であることがうかがえます。
なぜこんな所に車両が置かれているのでしょうか?
車両の裏側。
ブルーシートは何枚か重ねてあるのでしょうか。
相当厳重に縛られています。
蒸気機関車は木枕木、PC枕木の上に敷かれたレールに支えられています。
大麻の蒸気機関車は一体何なのか?
この汽車は噂によると2000年頃から置かれているらしい。
ブルーシートは冬の間だけではなく春夏秋の間も姿を見せること無く一年中覆われたままです。
つまり一般人が見られるものではなく、ただ置かれているだけなのです。
いろいろ調べてみるとわずかばかりの情報から以下の様なことが分かりました。
この保存車両はどうやら江別市在住の鉄道車両コレクター山田さんが所有する「山田コレクション」の一部であり、2000年にはなんとヤフーオークション(現ヤフオク)に出品されたこともあるとのことです。
当時は「本物の蒸気機関車がオークションで出品されている!」と鉄道マニアをたいそう驚かせたらしい。
その時の出品情報には以下のようなデータがありました。
- C型蒸気機関車
- 1944年製
- 立山製作所製造
- 全高3.8m・全長9.5m・重量29t
- 北海道茂尻炭鉱で使用
- 北海道江別市、現地渡し、倉庫内保存、保存状態良好
- 最低落札価格:2,000,000円
参照:オークション「独断と偏見の独り言」
結局オークションでは買い手がつかなかったのか、その後はずっとこのコンビニの駐車場に長い間置かれているようです。
そして何故この場所に置きっぱなしにできるのかも謎です。
茂尻炭鉱の蒸気機関車?
大麻の蒸気機関車はオークションに出品された茂尻炭鉱の蒸気機関車なのかは、結局のところ中身が見えないのではっきりしません。
が、外見の形と山田さんが所有している車両データ(ネットを調べるとかなりでてきます)から分析した鉄道マニアの方々からすると「まあそうだろう」と言われています。
では茂尻炭鉱の蒸気機関車はどのような経過を辿ったのか?
調べると、かつて売りに出された車両を山田氏が買い取ったことが分かりました。
まず「鉄道ピクトリアル」237巻(1970年5月号)82ページに『Cタンク機売ります - 茂尻炭坑(株)小松』という告知が出たようです。
参照:鉄道ピクトリアル目次一覧
販売譲渡前までの経緯を合わせると、「40トンCタンク機関車102」の変遷は以下のようになります。
日本冶金工業
↓
三菱鉱業芦別鉱業所専用鉄道
↓
雄別炭礦茂尻炭砿専用線
↓
山田コレクション
山田コレクションとは?
保存車両の持ち主と噂されている山田さんの「山田コレクション」とはそもそも何なのでしょうか?
どうやら北海道江別市在住の山田さんという鉄道マニアの方が、1970年代を中心に数々の本物の車両(主にSL)を買い取って保存しており、その数はなんと分かっているだけでも15両あると言われています。
その車両群を通称「山田コレクション」と呼ばれています。
実は鉄道ファンの間では結構有名で、鉄道車両の売却・譲受というのは鉄道雑誌や新聞等のデータに掲載されます。
なので個人に渡ったことも一般に知られるのです。
1970年代に何度も雑誌や新聞に譲渡先として山田さん自身のお名前や”江別市個人”という表記が出現し、鉄道車両マニアの間では知られた存在となっていたわけです。
かれこれ40年以上も誰にも見せられること無く保存されているとされる「山田コレクション」の車両群。
長年謎に包まれ情報も何もなかったのですが、2011年10月に驚きの発表がされます。
「山田コレクション」の車両群を「日本鉄道保存協会」が管理する運びとなったのです。
「山田コレクション」とは北海道・江別にお住まいの山田建典さんが私財を投じて集めてきた道内の蒸気機関車を中心とした実物車輌群で、1970年代からさながら都市伝説のごとくその存在が噂されてきたものです。
4122号機を含む2輌の4110形、2輌のB6、9615など5輌の9600形、夕張鉄道の12号機や雄別鉄道のC11など12輌の蒸気機関車と、客車、貨車、除雪車など総計15輌に及ぶコレクションはこれまでまったく公開されることなく、またその存在も秘匿されてきました。
日本鉄道保存協会では十数年前からこの歴史的コレクションの行方を見守り、山田さんご本人ともたびたび協議を重ねてまいりましたが、近年ご本人の体調不良もあり、今年になってからその所有が日本鉄道保存協会の手に移ることとなったものです。
蒸気機関車の輌数だけとっても国内では梅小路蒸気機関車館に次ぐ規模で、今後、利活用のための委員会を設立し、関係自治体とも連携のうえで保存・公開の途を探ってゆくことが報告されました。
この情報化社会にこれだけの個人コレクションが人知れず残されていたこと自体が驚きで、"散逸させない"、"道内で護る"という山田さんの意向を踏まえたうえで、これからその利活用が模索されてゆくことになります。
参照:日本鉄道保存協会2011年度総会より。(上)「鉄道ホビダス・編集長敬白」
以上が2011年の報告ですが、その後も公開の発表はなく月日が流れています。
2014年11月に行われた『日本鉄道保存協会 2014年度総会』では『北海道江別市の「山田コレクション」の保存状況についても報告書をもとに説明がありました。』とありますが、公開についての進展はまだないようです。
仮に江別市で車両群公開となったら観光の起爆剤になりそうなものですが…。
車両運搬や管理に莫大な費用がかかるだけに、どの場所でどのように公開されるのか気になるばかりです。
ところで、どれだけ貴重な車両が眠っているのか、その詳細を調べた方のブログが以下にあります。
保存車両に興味のある方にとっては垂涎の内容ですね。
『「山田コレクション」の内容を推定する』煮詰記録
※追記:山田コレクション(山田建典氏・故人)全保存車両一覧
江別市で保存されている山田建典氏(故人)が収集した車両群「山田コレクション」の全保存車両の詳細が発表されたので以下に列挙します。
- 日曹炭鉱専用鉄道 9615
- 雄別茂尻専用線 102
- 雄別鉄道埠頭線 C111
- 三菱鉱業美唄鉄道 4122、4号機、6号機、キ101、オハフ4、トラ
- 三美専用線 1、2
- 夕張鉄道 12
- 三菱鉱業大夕張鉄道 No.3、No.7、No.8
計15両
※追記:江別市文京台の蒸気機関車が移動しました(2017年10月)
Cタンク機関車102号機が江別市文京台の敷地から、江別市東野幌町へと移動しました。
搬送の状況は以下の記事に書きました。
※追追記:山田コレクション蒸気機関車C11 1号機、東武鉄道へ売却(2018年9月)
2018年9月、日本鉄道保存協会会報にて山田コレクションの蒸気機関車「C11 1号機」が東武鉄道に売却されたという発表がありました。
(※上記の102号機とは別のSLです)
RPSJ NETWORK 会報2018年9月号(PDF)/日本鉄道保存協会ホームページ
山田コレクションのC11 1号機は、江若鉄道→雄別鉄道→釧路開発埠頭と渡ってきた蒸気機関車です。
野幌車庫から2018年内に搬送予定とのこと。
長年倉庫で眠り人目にも触れなかった蒸気機関車が動態保存として復活するというのは胸が熱くなる思いです。
また江別市(北海道)を出て本州へ渡るというのも山田コレクションでは驚くべきことかもしれません。
「C11 1号」は青梅鉄道公園にある蒸気機関車とは別物
ちなみに、C11形の初号機といえば「青梅鉄道公園(東京都青梅市)」にて静態保存されていますが、その車両とは別物です。
山田コレクションの蒸気機関車は国鉄C11形の同形機ですが、江若鉄道が発注した1号機「ひえい」とのこと。
Wikipediaの説明では以下のようにあります。
国鉄C11形蒸気機関車 民間向けの同形機
江若鉄道
「ひえい」 - 1947年・日本車輌製造(製造番号1423) → 改番 C111 → 1957年譲渡・雄別鉄道(埠頭線)C111 → 1970年譲渡・釧路開発埠頭C111引用元:国鉄C11形蒸気機関車#民間向けの同形機/Wikipedia
江若鉄道 蒸気機関車
C11形C11 1・2
国鉄C11形の同形機。1947年自社発注の1号機は「ひえい」、同年宇部油化工業専用線から転入した2号機は「ひら」と称した。2号機は1953年に三岐鉄道へ譲渡された。1号機は1957年に雄別鉄道へ譲渡後、釧路開発埠頭に再譲渡されて使用された後、個人が保存していたが、東武鉄道に再々々譲渡される予定。
引用元:江若鉄道#蒸気機関車/Wikipedia
C11 1号機 東武鉄道へ譲渡決定後のTwitter関連情報
結局、東武鉄道さんは約束通り山田コレクションのC11-1を動態保存するの事を決定。
何十年もの間、人目のつかない場所で保管されてた機関車が復活するのはロマンを感じるな pic.twitter.com/tbZSKkttiS— D51P (@D51P) 2018年9月29日
東武が導入する2両目のSLが決定しましたね。
日本鉄道保存協会が静態保存している山田コレクションのC11 1「ひえい」が譲渡される模様で、前から噂はあったものの、まさか本当に東武に行くとは...笑
これからは東武を国鉄機と私鉄機のC11が走ることになります!!リンク→https://t.co/OfBd4X8aQa pic.twitter.com/qTwzAzFszx
— たいすん [秋] (@Taisun_C62_Like) 2018年9月29日
今日届いた古写真ファイルにあった一枚、雄別鉄道C11 1号機
江若→雄別→釧路開発埠頭→山田コレクション→東武(予定)
今度東武に行く山田コレクション機の現役時代です pic.twitter.com/zKml2cX7US— 大庭掃部助兵衛 (@114514_YJSNPI) 2018年9月29日
うわー東武が目を付けたの幻の山田コレクションのC11 1か〜
遺言で北海道から出さないようにと残されて日本鉄道保存協会が管理してたのに金で売るのか……他のコレクションも今後が心配だなぁ…
(ちなみ1号機といっても国鉄では無く私鉄の1号機です) pic.twitter.com/vvZNkmVASg— 準急 響 御一夜鉄道工機部 技官 (@157keihibiki) 2018年9月28日