
江別市高砂町にある「江別市民会館」の今後について、建て替えを視野に入れた検討が徐々に具体化しています。
2026年9月に開かれた令和8年第3回江別市議会定例会の一般質問では、市民会館に必要とされるホールの規模や、建て替える場合の候補地について市から説明がありました。
現在建設工事が進む新しい江別市役所本庁舎の完成後には、現在の本庁舎が解体される予定となっており、その跡地なども市民会館の建設候補地の一つとして検討されています。
一方、現時点では新しい市民会館の建設そのものや場所が正式決定したわけではありません。
これまでの経緯と、今回明らかになった内容を整理します。
もくじ
江別市民会館は開館から50年以上
現在の江別市民会館は1973年(昭和48年)に供用を開始しました。
施設には、
- 1,005席の大ホール
- 250人収容の小ホール
- 会議室
- 和室
- 楽屋
などが設けられ、市民文化祭、コンサート、各種大会、総会、説明会など幅広い用途で利用されてきました。
しかし、開館からすでに50年以上が経過しています。
建物や設備の老朽化が進んでいるほか、2015年(平成27年)に行われた耐震診断では、震度6強から震度7程度の地震に対して「耐震性に疑問あり」と判定されています。
市役所本庁舎とともに、市民会館についても以前から将来的な耐震化・建て替えが課題となっていました。
「1000人規模の大ホール」は今後も必要との方向性
市民会館の今後について、江別市は2024年度、市役所内部で「市民会館にどのような機能が必要か」を調査しました。
その結果、現在ある会議室については、新しい市役所本庁舎にも一定数の会議室が整備されることから、現在と同じ規模をそのまま維持する必要はないとの意見が多かったとされています。
一方で、ホールについては別でした。
「はたちのつどい」や市内中学校吹奏楽部の演奏会など、大規模な行事を開催するため、
約1000人規模の大ホール
が必要との考えが示されました。
また、各種総会、市民説明会、期日前投票などに利用するため、
約250人規模の小ホール
についても必要との結論になっています。
つまり、市民会館全体を現在と同じ形で建て替えるのではなく、会議室などの機能は見直しながら、大・小ホールは現在に近い規模を残す方向で検討されていることになります。
文化団体や中学校吹奏楽部からも「現在と同規模のホールが必要」
さらに2025年度には、市民会館を利用する文化団体や市内中学校の吹奏楽部関係者などから意見を聞きました。
ここでも、市民文化祭や楽団の演奏会、中学校吹奏楽部の練習・発表などに利用するため、
現在と同程度の規模のホールが必要
との意見が寄せられたということです。
行政内部の調査だけではなく、実際の利用者からも大規模ホールを残してほしいとの意見が出ている形です。
新しい「市民会館」ではなく文化ホールを中心とした施設になる可能性も
注目されるのは、市が現在の市民会館をそのまま再現する形だけを想定しているわけではない点です。
江別市は今後について、
「文化ホールなど社会教育施設としての整備」
も含めて検討するとしています。
現在の市民会館には多数の会議室がありますが、新庁舎にも会議機能が整備されるため、同じ機能を重複して持つ必要性は低くなります。
そのため、将来的には大・小ホールを中心としながら、他の公共施設や社会教育機能を集約した施設になる可能性も考えられます。
ただし、具体的な施設構成については現在検討中です。
建設候補地の一つに「現市役所本庁舎跡地」
今回の市議会で特に注目されるのが、新しい施設を建設する場合の場所についてです。
市によると、新庁舎の隣接地に市民会館などを建設する場合、一部では用途地域の変更などが必要になる可能性があります。
一方、
現在の市役所本庁舎跡地や東側の駐車場については「近隣商業地域」に指定されているため、用途地域の変更は不要
であることを確認したとしています。
このことから、現在の本庁舎跡地周辺は、新たな市民会館・文化ホールの建設候補地として現実的な選択肢の一つになっています。
なお、市は現本庁舎跡地への建設を正式決定したわけではありません。
他の公共施設を集約する場合などには、別の場所に建設する可能性もあるとしています。
なぜ現在の市民会館の場所にそのまま建て替えない?
現在の市民会館を解体し、その場所に新施設を建設する方法も考えられます。
しかし、その場合には既存施設を解体してから新しい施設を建設することになるため、市民会館が使用できない期間が長期間発生する可能性があります。
過去の市議会でも、市民会館の建設場所を考える上では、
- 市民会館を使用できない期間をできるだけ生じさせないこと
- 新たな土地取得を必要としないこと
などが重要な条件として挙げられていました。
その点でも、新庁舎完成後に空く現本庁舎跡地へ新施設を建て、その後に現在の市民会館を整理する方法には一定の利点があります。
新市役所本庁舎は2026年9月に安全祈願祭
一方、新しい江別市役所本庁舎の建設工事も本格化しています。
2026年9月4日には建設予定地で安全祈願祭が行われ、工事関係者や地元関係者など約50人が参加しました。
新本庁舎は現在の江別高校跡地に建設され、2028年秋頃の建物完成、2029年1月頃からの供用開始が予定されています。
その後、現在の本庁舎などの解体や外構整備が行われる計画です。
現在の本庁舎跡地については、こうした工事を経て2029年度末までに跡地が生じる見込みとされています。
つまり、市民会館の建て替えや周辺土地利用を考える上では、2030年前後が一つの大きな転換点となりそうです。
現本庁舎周辺は国道12号沿いの広い土地
現在の江別市役所と市民会館周辺は、国道12号に面しています。
現本庁舎、第1・第2駐車場、東側駐車場、市民会館などを含めると、まとまった広さの公共用地となっています。
過去の市議会では、このエリアについて、国道12号からのアクセスやJR高砂駅との位置関係を生かし、江別市の新しい「顔」になる可能性があるとの議論も行われてきました。
新庁舎が現在の本庁舎から学園通を挟んだ北側の江別高校跡地へ移転することで、現在の市役所・市民会館周辺の土地利用も大きく変わることになります。
市長「人が集い、地域の新たな賑わいを生み出す跡地利用を」
今回の一般質問では、現本庁舎跡地について市長がどのようなイメージを持っているのかも質問されました。
後藤好人市長は、新庁舎の実施設計が完了して工事が始まったことで、国道12号からの新庁舎の見え方や敷地全体の配置がより明確になったと説明。
その上で、
人が集い、地域の新たな賑わいを生み出すような跡地利用
を検討していきたいとの考えを示しました。
市民会館だけを単独で建て替えるのではなく、周辺土地全体をどのように活用して人を集める場所にしていくかという視点が出てきたことになります。
民間資金を活用する可能性も
新施設の整備方法については、従来のように市がすべて建設費を負担して公共施設を建設する方法だけではなく、
民間資金の活用
についても検討するとしています。
市民会館単体ではなく、公共機能と民間施設を組み合わせるなど、様々な整備手法も考えられます。
ただし、市は現在の財政状況について今後も厳しい状態が続くと見込んでおり、
- 建設場所
- 必要な機能
- 施設規模
- 事業手法
- 財源
などを総合的に検討する必要があるとしています。
具体的な事業方式や整備費については、まだ示されていません。
江別市中心部の将来像を左右する大きな計画に
新しい江別市役所本庁舎の建設が始まったことで、長年検討されてきた市民会館と現本庁舎跡地の問題も、次の段階へ入りつつあります。
現在の市民会館を単純に建て替えるだけではなく、国道12号沿いの広い公共用地をどのように活用し、文化・交流・賑わいの拠点として再整備していくのか。
今後、市民会館の具体的な方向性が固まれば、その内容を前提として現本庁舎跡地を含む周辺土地の利用についても議論が本格化するとみられます。
江別市中心部の景観や人の流れを大きく変える可能性のある計画だけに、今後示される施設規模や建設場所、民間活用などの具体案が注目されます。
参照元
- 令和8年第3回江別市議会定例会第3号(1/2)
- 本庁舎等の整備に係る市の基本的な考え方|江別市
- 令和5年第4回江別市議会定例会会議録(第2号)令和5年12月7日|江別市
- 令和7年第1回江別市議会定例会会議録(第2号)令和7年3月3日|江別市
- 新庁舎建設に関する情報|江別市
- 市長記者会見記録(令和8年1月7日(水曜日))|江別市






