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『王子エフテックス江別工場』を「えべつまちけんキッズ応援隊」と一緒に見学しました[江別市王子]

江別まち検定 まちけんキッズ

「江別まち検定」の受験を経験したキッズ達で結成された「えべつ まちけんキッズ応援隊」の隊員3人と『王子エフテックス江別工場(旧王子製紙)』の見学をしました。熱心に取材をする隊員達の様子を中心に工場の様子をレポートします。

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王子エフテックス江別工場見学の様子

えべつまちけんキッズ応援隊御一行様

江別市王子の地名にもなっており、江別市の歴史と共に歩んできた製紙工場『王子エフテックス江別工場(旧王子製紙)』の敷地内に入ると、まずは総合事務所に案内され、歓迎「えべつまちけんキッズ応援隊ご一行様」の案内看板を用意し迎えてくれました!これにはキッズたちも思わず写真を撮ったりと嬉しそう。

この企画は、江別まち検定を通して学んだ知識をいかしキッズならではの視点で情報発信をする「えべつまちけんキッズ応援隊」と、王子エフテックス江別工場の「江別のために江別の魅力を発信したい」という思いが通じ合って特別に実現したものです。

紙を作る工場内を見せてもらったり、昔、敷地内を走っていた鉄道・王子製紙江別工場専用線の廃線跡の様子や、今も残り利用されている大正時代あたりに造られたレンガの建物、一般の人が足を踏み入れるのは初めてという王子グリーンエナジーの屋上からの景色を見せていただいたりと盛り沢山の内容でした。

王子エフテックス江別工場資料

まずはテーブルに用意された詳しい資料に感激! 王子エフテックス江別工場のスタッフの皆さんは、この日を迎えるにあたって改めて江別市と王子エフテックス江別工場の歴史を勉強し資料を作ってくれたのだそうです。ずっとこの敷地で働いていたのに気にしていなかった廃線跡の形跡や、昔のレールを柱として再利用していたことなど敷地内に残る歴史の痕跡を知ることができてよかったと話してくれました。

王子エフテックス江別工場講義

さて、見学の最初は座って江別工場の概要や歴史を学びました。

1908(明治41)年に北海道初の新聞紙工場として創業した「富士製紙江別工場」は、渋沢栄一が1873年に創業した抄紙会社が母体となっています。今年、115年を迎えるという長い歴史の中では、1944年の太平洋戦争の時には軍の命令により、王子航空機江別製作所として木製戦闘機を製作した歴史もあります。

「江別まち検定」の試験では主にこうした江別の歴史の問題も出題されるので、隊員たちにとってはテキストで学んだ歴史をが事実であったと体感できたようでした。

座学の後、工場敷地内を実際に歩いて見学した時にも、「今、歩いている場所は昔は会社通りと言われていた道ですよ」と説明を聞くと、「これがあの会社通り?!」と隊員達の方が感慨深い様子でした。土地の歴史の知識があると、まちの景色の見え方も変わるのだなと思いました。

紙を作る機械のある「10マシン」では大きな機械が動いている様子が圧倒的な迫力でした。この日は工場長も自ら見学に同行し、実際に作られている紙や紙の原料を触らせてくれ、隊員達はメモを取りながら真剣に話を聞いていました。外の気温も30度近くあったのですが、工場内がもっと暑く外に出た時にはさっきまで暑かったのに涼しく感じる程。紙をつくるためにいつもあんなに暑い場所で働いていることに隊員達は、大人ってすごい!と思ったようです。

 

王子グリーンエナジー

石狩川・千歳川合流地点

王子エフテックス江別工場屋上から見た石狩川・千歳川合流地点

この場所に製紙工場が作つくられたのは、千歳川と石狩川の合流点が近く、かつてこの辺りは舟運と鉄道の要衝であったため。紙をつくるにも大量の水が必要なので千歳川から水を汲み、使用した水はきれいに浄水し石狩川に排水するにもちょうどよい立地なのです。

川が合流している地点をわかりやすく見ることができると、王子グリーンエナジーの屋上に上がらせてもらいました。工場長曰く、もしかするとこの屋上が特別な装備を付けずに上がれる江別市内で最も高い場所かもしれないとのこと。実際のところはどうなんでしょうね。

屋上からは江別市内の様子が見渡せ、札幌ドームも確認できました。

王子エフテックス江別工場 王子グリーンエナジー

王子グリーンエナジー江別は、山林に放置されている残材などを資源として電気をつくる木質バイオマス発電所です。2016年1月に運転を開始し、約6万世帯に相当する電気がつくられトドック電力を通じて一般家庭で使用されています。

1日に約600トンの燃料を燃やし蒸気の力で発電するので夏の暑い日には室温が50℃に達することもあります。熱中症対策のためにボイラー室の最上階は避難所となっていて、避難所内はクーラーをきかせ、冷蔵庫には冷えたドリンクを常備しているのだそうです。その避難所から見える景色も素晴らしいのだそうですが、今回はさらに高い屋上からの景色を特別に見せてもらえました。

えべつまちけんキッズ応援隊のみんなも屋上に上がって景色を満喫。たくさんの写真を撮りました。

 

貴重な歴史的建造物「レンガ倉庫」

王子エフテックス取水場 用水処理設備

正面が用水処理設備、中央のカーブした道は石狩川沿いに延びていた鉄道専用線廃線跡

王子グリーンエナジーの見学の後は、昔、線路だった道を通り途中にあるレンガの建物や円形の建物を見学し、総合事務所に戻りました。工場は、東西に約1000m(1Km)、南北に約600mと、とても広いので従業員の皆さんは夏は自転車を使って敷地内を移動するのだそうです。

 

王子エフテックス江別工場レンガ倉庫

現在も使われているこの煉瓦倉庫は、創業の翌年1909年(明治42年)の建築だと言われており、野幌煉瓦を使用した現存する建物としては最古のものだそうで、歴史的にも重要な建築物です。そうした貴重な建築物を100年以上も使い続けていることが素晴らしいことだと感じました。

 

王子エフテックス工場のまとめ

まちけんキッズ応援隊

再び事務所に戻り昔のアルバムの写真を見せてもらいました。時代を感じる写真からは当時の様子が伝わり、歴史を経て今につながっていることが感じられました。特に木製戦闘機キ106のモデルが飛んでいる写真には隊員達もびっくり興奮気味でした。

 

王子航空機 キ106

1944(昭和19)年の王子航空機江別製作所の時代の北海道空襲の話しや、1981(昭和56)年の江別豪雨の水害の様子も教えてもらいました。そうした厳しい時代を乗り越え、現在の王子エフテックスは機能性のある特殊紙を生産し、新製品の開発を続けています。

 

王子エフテックス 特殊紙製品

スナック菓子袋、コーヒーのフィルターやフィルター原紙(フィルター原紙は、コンビニのコーヒーマシーンに使われるフィルター)、セパレート原紙(ラベル、テープ・両面テープなどに利用されます)などの身近な特殊紙の他にも、

撥水加工されたメモ用紙、撚糸用紙など、浸透圧の低い水性ペンのインクははじかないのに水をはじくという技術に感動したり、紙で作った糸から服ができることにも驚きでした。

紙のリサイクル性や自然に還る性質が見直され、紙を農業にいかす技術も利用されているのだそうです。新聞紙や印刷用紙の需要は減り続けているもののプラスチックの代わりに紙を利用する流れが進んでおり、王子エフテックス江別工場もこれからますます環境への貢献を担っていきたいと教えてくれました。

歴史だけではなく、取り組みや仕事もすごい!とわかった隊員達が、自分の言葉で感じたことや魅力を伝えようと一生懸命な様子も素晴らしかったです。

 

※追記:王子エフテックス えべナビ編集部マニアックスレポート

今回取材にご同行させて頂いたえべナビ編集部が、独自の視点でまとめた王子エフテックス見学レポートも作成しましたのでご一読頂けると幸いです。

 

えべつまちけんキッズ応援隊とは?

江別まち検キッズ 文化財整理室

「えべつまちけんキッズ応援隊」とは、江別まち検定の受験経験がある子ども達で結成された、江別とまち検定の応援隊です。活動の様子は、江別まち検定のFacebookでご覧いただけます。

 

江別まち検定2023年度募集開始!

令和5年度の江別まち検定の受験申込を受付中です。興味ある方はぜひお申込みをよろしくお願いします。

※江別まち検定2023年度の詳細については以下の記事をご参照下さい。

 

王子エフテックス江別工場の場所アクセス地図

住所:〒067-0001 北海道江別市王子1

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えべナビ編集部:副編集長

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